想い出のなかの、養殖魚

赤く、紅く、朱く、そして漆黒へ

大雨と河川と。

沢木でございます。

 

本日、9月8日は、台風もどきの低気圧や前線が太平洋上空にあって、

早朝、四国九州地方は突発的な大雨です。

スマートホンの天気アプリを見ますと、岡山の美作でも局地的な豪雨があったとか。

 

 

雨というものは、やはり農業にとって、なくてはならぬもの。

ほどほどに降れば、畑の土を潤し、農作物の生育に効果抜群です。

ただ、養殖漁業にとっては、さてどうか。

 

 

夏季。

気温30度近くに上昇する時期、大雨が降り、気温が上がり、天空から強烈な日差しが降り注げば、あっという間に赤潮発生です。

赤潮

プランクトンの異常増殖によって、海域が赤く変色したりする。

毒性プランクトンや、酸欠状態が発生しますわけで、まぁ、赤潮が出てしまうと、宇和海沿岸の養殖漁業は、すわ一大事となります。

私も、若い頃は、「赤潮が出たぞ~」 と耳にすると、勤務帰りに海岸まで車を走らせ、状況に急変が無いかと、気が気ではありませんでした。

しかし、もうここ10年、毎年毎年赤潮が出ますと、心が鈍磨したのか、

「あせってもいけんわなぁ」

また発生したのか? くらいな気持ちです。

 

 

大雨が降り、水が河川に流入し、どれが河口から海に出て行きますと、水潮といって 一時的に海水の塩分濃度が下がります。

魚には、影響よろしくなく、釣り人も水潮が出ると、まず湾内で釣りはしませんね。

養殖生け簀においても、やはり影響は出て、魚の餌食いもかんばしくなく、むしろ 水潮当日は魚をそっとしておいてあげたいものです。

 

水潮は、天候によるもの。

大雨が降れば、必ず発生するものですから。

しかし、赤潮は、必ずしも 天候にすべての原因があるわけではない。

赤潮は、大小発生はするものです。

ただ、発生するたびに 養殖漁業が大騒ぎするほどに、赤潮規模、被害額が拡大したのは、人為的な原因もある。

毒性プランクトンが、毎夏 大量に出るようになったのは、養殖漁業が 大量に養殖生け簀を海上に浮かべ、魚を囲い、餌を大量に投入するようになった時期と、ほぼ重なります。

実際、そういう因果関係を、赤潮発生規模の拡大の原因と結びつけている学者さんや業者さんもおいでなくらいで、養殖漁業に関係した者として お話を伺うと、

「なるほど、それは一理ありますわいな」

そう、思ってしまいます。

 

養殖漁業は、海を汚す。

そう言われた時期もありますが、それも 一理あったのです。

生け簀の魚が食べきれないくらいに、冷凍した鰯や秋刀魚などを、カッター切りで船からとばしていたくらいですし。

 

 

一日どれくらいまでの餌やりじゃったら、魚が食べきれるものか。

どのくらいの量を、どのような日数、季節の変化で、餌やっていけば 魚が 病気もせんと元気に、大きく育っていくのか。

しっかり記録して、過不足なく養殖していけばよかったのかもしらん。

 

 

日々の、海に積もっていく餌や魚の死骸の量は微々たるものでも、

1年、5年、10年の長い期間で考えていけば、かなりなものです。

なるほど、海がパンクした原因のひとつだと、そういった仮説も、素直にうなづける。

 

もちろん、養殖漁業の始まりからの、すべての記録を集積して、解析したものではないので、あくまで仮説とは言いますが。

個人としてのカンと断りはするが、私は 養殖のやり方も拙かったと、彼らに賛同したものです。

「持続的な養殖漁業」

はやりの言い方をすると、そう言うらしいが、10年後の海、20年後の海で養殖に最適な環境の恩恵を受け続けるには、どういうやり方を心がけていかねばならなかったか。

そういったものは、あの当時ほとんど誰も本気で考えとらんかったですな。

 

そういうことを考える人は、アカじゃというて、小馬鹿にしていたのがあたりまえの時代だったと、そう記憶しています。

ですので、私個人は、今年は前年のような赤潮被害は出なかったと聞いていますが、出ていたとしても、そう 同情はできんのですよ。